Nectar Evolutionとは?
今日、ユニファイドコミュニケーション(UC)製品(Cisco®、Microsoft®、Avaya®など)の音声、ビデオ、メッセージ、プレゼンスおよびコラボレーション機能/機能性が向上したことにより、Cisco Unified Communications Manager (CUCM)、Microsoft Skype® for Business、およびAvaya Aura™ Communications Manager (ACM)の利用が急速に展開されています。
しかし、企業はパブリック、プライベート、およびハイブリッドのITインフラ全体で複数のベンダー製品を取り入れているものの、異機種間UCアプリケーション/デバイスやネットワーク要素のライフサイクル管理は複雑であるため、UC展開のスピードやメリットが制限される危険があります。
そのソリューションのスキルを持つ、運用管理エンジニアが手動での設定を行う事を元に、ベンダーごとにデプロイ、モニタリングおよびエラー管理ツールや方法が「サイロ化」されていることが、この問題の原因です。
ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)、ネットワーク機能仮想化(NVF)、RESTfulなAPI、そして統合型ポリシーエンジンなどの新技術により、UCやネットワーキングポリシーのオペレーションを自動化し、「サイロ化」を解消して、総所有コスト(TCO)やユーザー体験の劇的な改善を実現することができます。
Cisco Application Policy Infrastructure Controllerエンタープライズモジュール(APIC-EM)を導入し、そこに自動化されたソフトウェア管理型のポリシーエンジン実装することで、そうしたTCOや体験の向上を実現できます。
Nectar Evolution ™は、Microsoft、Cisco、Avayaなどのベンダー製品を利用した異機種(マルチベンダー)環境のネットワークやUC要素に、統合型のポリシーソリューションを提供します。
Nectar Evolutionのメリットを以下にまとめます。
● 運用コストの削減-統合されたエンド・ツー・エンドのUCおよびネットワークポリシーエンジンNectar Evolutionで、正常時、および障害時のオペレーションを自動化します。 ● UC-統合型ポリシーエンジンとデータベースで、Microsoft、Cisco、AvayaなどのUCベンダー製品が混在するエンド・ツー・エンドのUCソリューションに対応します。 ● 高度ネットワーキング―Cisco Aruba®、Hewlett-Packard Enterprise®およびその他のネットワーク設備プロバイダー(NEP)製のSDNやレガシーネットワーク要素に対応します。 ● UCユーザーエクスペリエンスの向上―事前定義されたUCポリシーにより、エンド・ツー・エンドのエラー検知、診断、隔離および矯正処理を統合、自動化および高速化します。複数ベンダー(マルチ)UC導入と問題:
図1. 分散型企業のネットワークおよびUCインフラ展開状況
典型的な分散型企業では、複数の支店、大型拠点、パブリック/プライベート/ハイブリッドのデータセンターが存在し、WANインフラではMPSLとIPの両方がこれらの様々な拠点に繋がっており、非常にモビリティの高いユーザーが複数ベンダーからの様々なUCエンドポイントを利用しています。こうした企業のIT組織は、これまでのPBXやIP-PBXソリューションからUCに転換していますが、通常、採用しているUC要素(エンドポイント(EP)、通話処理(CP)、セキュリティノード(SN))は1つのベンダーのものではありません。
各UCソリューション毎に独自の要素管理(EM)アプリケーションやデータベースが存在するため、ベンダーごとに「サイロ化」された業務手順や災害対応が必要になります。 そのため、ライフサイクル管理プロセスは手作業がメインとなってしまい、ベンダーごとに特有の管理能力やツールが必要になるのです。
そのために、ITスタッフは要件やユーザーの移動、追加、更に変更等が発生するたびに、エンド・ツー・エンドのポリシーをマニュアルで調和および検証しなければなりません。 このデプロイをさらに複雑化しているのが、ネットワーク要素(エッジルーター(ER)、データセンタースイッチ(DS)、アクセススイッチ(AS)、アクセスポイント(AP)、およびセキュリティノード(SN))のベンダーは通常1社に絞られておらず、それぞれに独自の
管理ツール、データベースおよび専門知識が必要であるという事実です。
また、アクティブネットワークやUCセキュリティ脅威に直面して、ユーザーがシームレスな移動、場所に依存しないネットワークアクセス、またデバイスに依存しないネットワークアクセスを要求していることで、問題はさらに複雑化しています。従来のUC管理問題対応方法
現在のUCデプロイは、コヒーレンシ(一貫性)、ダイナミズム、またエンド・ツー・エンドのサービス可視性に欠けるインフラ管理ソリューションに依存しています。 図2は、日々の業務(ネットワーク要素、UC要素またはユーザー属性の移動、追加または変更など)のライフサイクル管理コストを示しています。
図2. 従来のネットワーク
図2に描かれている各ネットワーク要素は、統合された「コントローラー」とデータ転送/フィルタリング部分で構成されています。通常、すべての要素はそのベンダーの要素管理(EM)アプリケーションとデータベースを利用してマニュアルで設定するか、設定インターフェースを通じて直接設定しなければなりません。
例えば、セキュリティやアクセスポリシーにエンド・ツー・エンドの変更を行う場合、複数のベンダーのネットワーク要素、UC要素またはユーザーポリシーに単純な変更を行うために、エンド・ツー・エンドの接続内の各要素をそれぞれ別々かつ手作業で設定しなければならないのです。時間のかかる要素のマニュアル設定、エラー発生率の高さ、また要素設定シーケンスが同期されていないことから発生する労働コストや機会費用が問題となります。
障害対応はさらに大きな問題です。
例として、UCフロー上のいずれかのノードで、AS、AP、ERまたはDSのプライオリティキューに設定ミスがあった場合、これらの要素のリンクでUCフロー以外から高い通信量が発生した際に、音声またはビデオのリアルタイムプロトコル(RTP)セッションで中断が起こる可能性があります。
仮にこのような中断は数秒間しか続かないとしても、従来のネットワーク要素管理システムでは、影響を受けやすいネットワーク要素やインターフェースに対するイベントのリアルタイム検出や相関はできません。
複数ベンダーの様々なネットワーク要素が使われている環境では、リアルタイムの相関は実質的に不可能なのです。
音声セッションの瞬断でも、これを体験したユーザーは品質低下事象が発生したことをはっきり認識できます。ですが、ユーザーがクレームを伝えるネットワークオペレーション担当者は、品質低下事象をリアルタイムで確認できません。
ユーザーにとってはクレーム内容を理解してもらえないということであり、結果としてネットワークオペレーションチームに対する信用が低下します。どんなに説明しようとも、通話が終了後しばらく経過しなければ、ユーザーは担当者を納得させられません。
大抵の通話処理アプリケーションは、エンドポイント(ネットワーク要素ではありません)のサービス品質低下をモニタリングしますが、通話終了時の通話詳細記録(CDR)内の品質低下しか報告しません。通話時間が長い場合、担当者がユーザーのクレームを確認し、診断や復旧作業を始めるには、サービス品質低下事象の発生後、CDRを取得するまでにかなり長い時間待たなければならないのです。
Nectar Evolutionが可能とすること
必要なのは、複数ベンダーのすべてのUCとデータネットワーク要素にリアルタイムで作用し、統合されたポリシー管理ソリューションで実施される、エンド・ツー・エンドのUCサービスの実現と保証のソリューションです。
図3は、Cisco APIC-EMとNectar Evolutionのポリシーエンジンを使って提供される、そのようなソリューションを描いています。
図3. Nectar Evolution、Cisco APIC-EMおよびMicrosoft SDN APIを使用したリアルタイムの統合型動的サービスの実現と保証
SDN/NFVの概念により、ルーター/スイッチ/アクセスポイントコントローラー機能をデータ転送/フィルタリング機能から物理的かつ理論的に分離することができます。
このように分離させることで、1つに統合されたコントローラー要素が複数の転送/フィルタリング要素のオペレーションを管理およびコントロールできるようになります。
Cisco APIC-EMは、そのように統合されたコントローラーなのです。
APIC-EMは、通常2つのAPIインターフェースで実現されます。
1つのAPIは「上り」インターフェースと呼ばれ、Nectar EvolutionなどのアプリケーションとインターフェースをとれるオープンなRESTful APIです。
「下り」APIは、1つ以上のデータ転送/フィルタリング要素とのインタラクションに論理的なコントロールとローカル設定およびモニタリングを行います。CiscoのAPIC-EMコントローラーは、OpenDaylight®コントローラーに基づいており、CiscoブランドのSDN転送/フィルタリング要素、CiscoのIOS型ルーターおよびスイッチ、Cisco Catalyst®のレガシースイッチ、Cisco Nexus®のルーター/スイッチおよび第三者ネットワーキングベンダー製の標準型OpenFlow®ネットワーク要素との下りインターフェースが含まれています。APIC-EMコントローラーを介した次世代Cisco SDNスイッチやルーターのインタラクションは、Cisco OnePK®かOpenFlow下りAPIを介して行われます。
統合型のレガシーIOS、NX-OSおよびCatalystスイッチやルーターについては、コントローラーからデータへの転送/フィルタリングのインターフェースとしてCiscoのCLIかOnePKを使うことができます。
Nectar Evolutionは統合型ポリシーエンジンを提供することで、ベンダー間の違いを埋め、複数ベンダーからのUCおよびネットワーキング要素に、完全なエンド・ツー・エンドの概念を実現しています。
Evolutionのポリシーエンジンやデータベースは、Cisco APIC-EMの上りインターフェースを介してCiscoと作用します。さらに、EvolutionはMicrosoft Skype for Businessのフロントエンドサーバーからデータを収集し、Microsoft Skype for Business SDN APIから提供されるリアルタイムの情報を使用しています。
【今回リリースされるEvolutionのバージョンでは、Cisco APIC-EMを介してマルチベンダーによるUCモニタリングとネットワークコントロールに対応します。】
高度分散型エンタープライズITインフラの隅々まで全体に渡って、低TCOでマルチベンダーによるエンド・ツー・エンドのリアルタイムUCサービス自動実現、サービス供給およびサービス保証サポートを供給するというのは、画期的で実用的な最終結果なのです。
Evolutionは統合された共通のポリシーエンジンやデータベースによって個々の要素管理ソリューションを同期するため、過去に手動作業で行われていたベストプラクティスをこの分散型のインフラ全体で自動化および検証できるのです。
直接的には、大きい順にTCOの削減、サービスの実現、そしてエラー保証というメリットがあり、ITスタッフは、ポリシー型設定やサービス検証オペレーションの自動化に対応することで、Evolutionのダイナミズムを拡張できます。
ネットワークのサービス品質(QoS)やユーザーポリシーの自動化により、ITスタッフは従来のネットワークやUC管理方法では効率的に実現できなかったカスタマイズサービスや動的サービスを提供できるようになります。
メリットを詳しく説明するため、以下に使用例をご紹介します。
Nectar Evolutionの使用例
● QoSの初期設定 – Evolutionは新規または既存のエンドポイントやネットワークデバイスにQoSポリシーを自動設定します。ユーザーがSkype for Business、Cisco IP PhoneまたはCisco Jabberなどのエンドポイントに新規接続すると、Nectar Evolutionが自動的にエンドポイントのタイプとIPアドレスを識別して、そのタイプに該当のQoSポリシーを選択し、APIC-EMを介してコマンドを発行します。その結果、新規接続されたエンドポイントへのネットワークアクセスポートでQoSが再設定されます。 ● サイト間移動時のQoSの設定 – 過去に追加されたエンドポイントが企業内の物理的に別の場所に移動され、同じエンタープライズネットワークに接続される場合。Evolutionが自動的にエンドポイントのタイプとIPアドレスを識別し、該当のQoS設定ポリシーを選択の上、APIC-EMを介してコマンドを発行します。その結果、ネットワークアクセスしたデバイスの新規接続エンドポイントのポートでQoSパラメータが再設定されます。この使用例には、アクセススイッチで有線接続から無線接続へデバイス移動する場合や、その逆の移動が含まれます。どちらの使用例でも、システム管理者が関与することなく、QoSが自動的に設定されます。Evolutionは各接続イベントのレポートや記録も行います。
まとめ
Cisco APIC-EMコントローラーおよびMicrosoft SDN API搭載のNectar Evolutionにより、IT組織は国際的に広がる自社のITインフラ全体にUCをデプロイすることやSDNによるメリットを瞬時に確認できます。TCOが削減される、複数ベンダーのすべてのUCやネットワーク要素に必要なポリシー管理が1つに統合される、UCユーザーの体験が全体的に改善される、また、UCユーザーにリアルタイムで優れた体験を動的にお届けできるというメリットがあります。
NectarでUCやSDN採用を促進し、マルチベンダーのすべてのCisco UC環境でQoSの大変革を起こす方法については、www.nectarcorp.com をご覧ください。
スターシステムズは、Nectar Services社の正規総代理店です。